「トネリコ」はモクセイ科トネリコ属の落葉樹です。
名前には外国語のような雰囲気があると感じられるかもしれませんが実は日本原産の木で、それは学名(Fraxinus japonica)にも表れています。
分布域は東北地方〜中部地方で、一部の地域では収穫したイネを干すための木として使われていたそうです。
今では主に街路樹や公園樹などとして見かけることができますが、同じモクセイ科トネリコ属の仲間であるシマトネリコの方がずっとメジャー。
またまれに鉢植えや観葉植物として扱われることがあるようですが、こちらの用途においてもシマトネリコの方が主流です。
シマトネリコの方が人気である理由としては常緑樹であり一年中緑が楽しめる、葉の色が明るく爽やかな雰囲気があるなどといった点が挙げられていますが、これは反対に言えば「トネリコ」はより落ち着いた雰囲気を持つということ。
よって明度が高すぎない色の草花、例えば山吹色やすみれ色、青色、紫色といったカラーの花とは相性が良いです。
なお開花期は5〜6月で、花の色は白、淡い黄緑色、クリーム色など。
花には花びらがなく、また雄花と雌花の2種類があります。
「トネリコ」の花言葉
「トネリコ」の花言葉は「威厳」「高潔」「思慮分別」「荘厳」「偉大」「服従」などです。
これらの由来についてはいくつかの説があり、ヨーロッパ原産の仲間であるセイヨウトネリコが北欧神話に登場することからきているとも、セイヨウトネリコには悪魔を退ける力があると信じられていたことからきているとも、「トネリコ」の樹皮を煮詰めたものがかつて写経に使われていたことからきているとも言われています。
いずれにせよ神聖さや神仏の威光といったイメージからきていると考えれば、宗教家の方や宗教施設にはぴったりのものだと言えるでしょう。
あるいは悪しきものに惑わされませんように、清らかで正しい生き方を続けられますようにといった願いを込めるという使い方も考えられます。
「トネリコ」の豆知識
「トネリコ」の名は「戸練り粉」からきているという説があります。
これは枝に付くイボタロウムシという昆虫が分泌するロウ物質(会津蝋あるいはイボタ蝋と呼ばれる)から作られるもので、戸の滑りを良くするのに使われていたとのことです。
また樹皮は秦皮(しんぴ)という生薬になります。
これには眼の充血や下痢の改善、鎮痛などの効果があるそうです。
加えて「トネリコ」の木材は緻密なうえに弾力があるため、木製バット、テニスのラケット、道具の柄などに使われています。
まとめ
「トネリコ」はモクセイ科の落葉樹。
原産地は日本で、一部地域では収穫したイネを干すために使われていたそうです。
今ではまれに街路樹や公園樹、観葉植物などとして利用されます。
花言葉は「威厳」「高潔」「思慮分別」「荘厳」「偉大」「服従」など。
宗教に関わる人や場所、清く正しくありたい人などにおすすめの木です。