衣食住は我々の生活に欠かせないものですが、その中でも生活の基板となる住居というのは社会生活を営む上でとても大切です。
我々はほとんどの人がなんからの形で住居を変更する場合があると思います。
例えば親元を離れる時、寮や賃貸のアパートやマンションを出る時、好ましくはないですが、家賃滞納や破産などの金銭的理由で離れる時などです。
そんな中でよく聞く言葉に『退去』と『明け渡し』があります。
どちらも似ている単語として考えがちですが、厳密には意味が違うことはご存知でしょうか。
この記事では「退去」と「明け渡し」の違いを分かりやすく説明していきます。
「退去」とは
退去とは『今いる場所から立ち去ること』を表す単語です。例えば戦争などで国を去る場合などは『国外に退去する。』という言葉がニュースなどで使われているのでよく耳にされることも多いのではないでしょうか。
さて、住居から『退去』するとは具体的にどういう意味でしょうか。
これは厳密には『体一つで出ていく』ことを指し示し、家具や家電などの荷物はそのままで出ていくことを表します。
つまり、『単純に出ていく』ことが『退去』になるのです。
「明け渡し」とは
一方この単語はどうでしょうか。
一般的には『住居や土地などから立ち去り、別の人に渡すこと』を指します。
ですが、もう少し厳密な意味があり、これは『荷物を全て綺麗に住居から出して出て行くこと』を表しているのです。
例えば引っ越しをする際、大家さんや賃貸仲介業者とのやり取りで『明渡日』という言葉を聞いたことはありませんでしょうか。
これは前の住居人が私物を全て撤去して立ち去り、新しい入居が出来る様にする日という意味です。
「退去」と「明け渡し」の違い
この二つの表現の違いは『単純に体一つで立ち去るのか』と『私物を撤去した上で立ち去るのか』ではっきりと分けることが出来ます。
実はどの国語辞典を見てもこの単純に立ち去るのか私物を撤去するのかという部分を明確にしているものが見当たりません。
住居関連でなく、一般的な言葉としても使われることが多いのでこの様な説明になっているのですが、アパートやマンションなど不動産関係になると途端に言葉の持つ意味が厳密に変化していくので注意が必要です。
つまり『明け渡し』というのは厳密な意味としては『私物を全て撤去して退去すること』という形で『退去』よりも更に意味をしっかりと持たせた具体性のある言葉になります。
脱線すると、法的文書や命令などでは『明渡』なのか『退去』なのかを明確に記しています。
例えば『明渡』の場合は先ほど説明した通りですが、『退去』の場合は差し押さえなどで荷物を持たせることを許可しない場合などもあるからです。
まとめ
如何でしたでしょうか。
どちらの単語も殆ど同じ意味として使っていた方が多かったのではないでしょうか。
今回は住居に関わる『退去』と『明け渡し』の違いを見てきました。
特定の分野では我々が認識している言葉の意味がとても厳密になったりする可能性があります。
法的な文書では認識の違いが思わぬトラブルを引き起こしかねない為、分からないことや似た様な言葉をあえて使い分けているなどがあれば必ず確認するクセを付けましょう。