「心酔」と「陶酔」の違いとは?分かりやすく解釈

「心酔」と「陶酔」の違いとは? 言葉の違い【2語】

この記事では、「心酔」「陶酔」の違いを分かりやすく説明していきます。

うっとりする言い回しを、ひとつずつ学んでいきましょう。

「心酔」とは?

心酔(しんすい)とは、ある事柄に心を奪われて、それ以外は見えなくなってしまうこと。

またはある人に、深く心をくだく様子です。

ある物や人が気になってしまい、我を忘れたように、のめり込む状態をあらわします。

「心酔」という熟語をひも解くと「心から酔う」と訳せます。

この場合の「酔う」というのは、惹きつけられること。

恋をしたように、ターゲットとなっている物や人に夢中になってしまう状態です。

憧れている人を深く慕うとき、尊敬している恩師の言いつけを守るときなどに用いられています。

「陶酔」とは?

陶酔(とうすい)とは、惚れ惚れすること。

うっとりして、夢のようなひとときを味わうことです。

お酒を飲んでもいないのに、浮ついた気持ちになることを「陶酔」と呼んでいます。

そもそも「陶酔」「陶」「酔」という漢字から成り立っています。

「陶」は焼き物をイメージさせる漢字ですが、同時に「楽しむ・うっとりする」という訳もあります。

「酔」「心を奪われる」なので、何かに気持ちを揺り動かされて、平常とはちがう心境になることが「陶酔」です。

また自己保身に走る、自分のことしか考えられない人にも使います。

「心酔」と「陶酔」の違い

いずれも「酔う」という言葉がはいっているので、見分けを付けにくいです。

「心酔」「陶酔」の違いを、分かりやすく解説します。

・マイナスの意味もある「陶酔」
「心酔」「陶酔」には、心が奪われるという共通した意味があります。

ただ言葉の雰囲気が、少しずつ異なっています。

「心酔」は心が揺り動かされて、慕っている様子です。

尊敬の気持ちに近いものが、込められています。

そのため仕事のできる上司の敏腕ぶりにほれ込むとき、男気あふれるキャプテンに恋焦がれるようなシーンで使われます。

心意気の良さにほれ込むのが「心酔」です。

一方で「陶酔」は、うっとりと酔いしれること。

ただ陶酔には「正気ではない」というマイナスのニュアンスも含まれています。

そのため自分に酔っていて視野が狭くなっている人を「自己陶酔的」といいます。

また甘い言葉に騙されて、物事の中心が見えていないことを「陶酔する」といいます。

つまり我を忘れて、周りが見えなくなっているのが「陶酔」

穏やかな「心酔」とは与える雰囲気が大きくかけ離れているので、使い方には注意していきましょう。

まとめ

「心酔」「陶酔」の違いを分かりやすくお伝えしました。

どちらも揺れる気持ちをあらわす言葉になります。

「心酔」とは尊敬する人物や世界観に、夢中になること。

心から魅了されて、その心意気に感動することです。

そして「陶酔」とは、お酒に酔ったように浮ついてしまうこと。

ナルシストのような人を「自己陶酔」といいます。

違いを知って、表現力を身に付けていきましょう。

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