この記事では、「実施」と「施行」の違いを分かりやすく説明していきます。
似ている熟語を区別していきましょう。
「実施」とは?
実施(じっし)とは、計画を実際におこなうこと。
用意しておいたプランに、取りかかることです。
水面下で温めていた計画に着手する、とりおこなうという意味合いがあります。
そもそも「実施」という熟語には「実」と「施」という2つの漢字がはいっています。
実には「成果・結果」というゴールをしめす訳があります。
そして「施」には「おこなう」という訳が込められています。
そのため「実施」で「よい結果がもたらされるように、とりおこなうこと」という意味になります。
「キャンペーンを実施します」や「園庭解放を実施します」など、これから催事やイベントが始まる時に用いられています。
多くの人に呼びかける場合、参加を促したいシーンで使われる表現です。
「施行」とは?
施行(しこう)とは、あたらしい法令が発動すること。
国や自治体のルールとして、効力をもつことです。
もともと「施行」には「施」「行」という漢字が含まれています。
「施」とは「おこなう」こと。
そして「行」には「すすめる」という訳があります。
そのため国会で審議された法令などが、実際に発令されることを「施行」と呼んでいます。
また施行には、あたらしい街ができるという意味もあります。
そのため「市制施行40周年」は「市になってから40周年を迎える」という訳になります。
法令が出されること、街が生まれることが「施行」です。
ちなみに「施行」とよく似ている「施工(せこう)」とは、工事が始まることです。
間違えやすいので、区別を付けておきたいです。
「実施」と「施行」の違い
どちらも良く似ているので、識別しにくいです。
「実施」と「施行」の違いを、分かりやすく解説します。
・イベントは「実施」法令は「施行」
物事をとりおこなうのは「実施」です。
そのため「学力テストを実施します」や「バーゲンを実施します」など「開催する」と同じような表現で使われています。
催し物や式典、イベントを始めることが「実施」です。
そして「施行」は法令が発動されること。
国や自治体の法律や条例がスタートすることです。
「個人情報保護法が施行されます」や「新しい法令の施行が検討されています」などと用います。
「実施」も「施行」も、新しい物事をスタートさせるという意味があります。
けれども民間のイベントには「実施」、法律にまつわるものには「施行」と区別されています。
使い方に注意しておきましょう。
まとめ
「実施」と「施行」の違いを分かりやすくお伝えしました。
実施とはワークショップやイベントなどを始めること。
行事の開催をあらわします。
そして施行とは、法令や条例を発動させること。
ある法令や条例が規則のひとつとして世の中に、広まっていくことです。
どちらも「とりおこなう」という共通した意味がありますが、それぞれ使われるシーンが異なっています。