食用として利用されている「鮭」は命がけで卵を産むことで知られていますが、生物としての寿命はどのくらいなのでしょうか。
今回は、「鮭」の寿命について解説します。
「鮭」の野生化での寿命
「鮭」の野生下での寿命は3〜5年です。
鮭は卵から孵化し十分に成熟すると川を遡上し産卵して寿命を終える魚です。
成熟するまでにかかる期間は環境によって違いがありますが野生下ではおおよそ3〜5年かかります。
寿命といってもいわゆる老衰で死ぬのではなく全てのエネルギーを産卵に注ぎ込み力を使い果たして命を失うのが「鮭」にとっての寿命なので産卵する年齢が「鮭」の寿命にあたります。
メスなら卵を産む、オスなら受精の為に精子を放出できるようになる年齢が「鮭」の寿命ですが、全ての個体が産卵できるわけではありません。
遡上の途中で捕獲されたり遡上に成功しても受精卵を残せなかったりなど寿命まで生存できる個体は全体の中でほんの一握りにすぎません。
「鮭」の飼育下での寿命
「鮭」の寿命は産卵可能なまでに成熟する年齢です。
鮭の成長には水温と餌の摂取量が強く影響し、自然環境では季節ごとの水温差とエサの量の違いによって成長速度が決まりおおよそ3年〜7年で成熟します。
飼育下では水温と餌の量を調整することでわざと成長を遅らせて寿命を延ばすことが可能です。
飼育下なら寿命は5〜7年程度まで延びます。
長寿だけを考えて飼育するなら理論的には10年以上にまで延ばすことも可能だとされています。
「鮭」の寿命が短い理由は?
「鮭」の寿命が短い理由は「産卵に全てのエネルギーを注ぎ込むライフサイクルだから」です。
多くの生物にとって繁殖は最優先事項です。
出産や産卵など繁殖は生物の生きる目的そのものでありほとんどの生物は繁殖のために生きているといっても過言ではありません。
生物の繁殖システムはひとつの個体が何度も出産や産卵を繰り返すものと生涯1度の出産や産卵に命をかけるものの2つに大別されます。
「鮭」は1度の産卵に全ての生命力を注ぎ込む生物なので産卵後の余命はほとんどありません。
ほとんどの鮭は遡上と産卵で全ての力を使い果たします。
生涯の前半で成熟してから老衰で死ぬまで長く生きる生物とは異なり「鮭」は成熟してすぐ全ての力を産卵に注ぎ込み寿命を迎えるため短い一生になっています。
まとめ
「鮭」の一生は命がけで行う産卵が全てで産卵と共に寿命を迎えます。
近年は異常気象や川の開発など無事成熟しても遡上できずに命を落とす答えが増えているといわれます。
「鮭」が寿命を迎えられるような自然環境保護は急務です。