「薫風の候」という表現を見たこと、聞いたことがあるでしょうか?
最近ではあまり用いない表現ですので、若い方を中心に意味がわからないと感じる場合も多いかと思います。
これより、「薫風の候」の意味や使い方について解説していきますので、これを機に理解が深まれば幸いです。
「薫風の候」とは?
まず、「どんな読み方なのかすらわからない」という方もいるでしょうから、読み方から説明いたします。
「薫風」は「くんぷう」、「候」は「こう」と読みます。
「薫風」の意味は、おおむね5月中旬からの初夏の爽やかな風のことです。
「薫」は「香る」「かおる」とほぼ同じ言葉で、「薫風」には「新緑や若葉が香る風」という意味が込められています。
一方の「候」ですが、「時季」や「時節」を指し、もっとわかりやすく言うと、ほぼ「季節」と言い換えても良いでしょう。
つまり全体としては、「新緑の香り立つ風が吹く初夏の頃」という意味合いになりますが、通常は5月中旬から下旬にかけて用いる表現となっています。
「薫風の候」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスにおけるメールや書面での冒頭での挨拶に用いることが大半です。
例えば、取引先の担当者への挨拶の冒頭に、「拝啓」「はいけい」と言った表現とともに使ってみましょう。
ただし、やや堅い表現のため、かなり改まった場面に用いる表現であることを意識すべきです。
また、すでに説明しましたが、単に初夏というだけではなく、5月中、厳密には5月中旬から下旬限定の表現と考えておくべきですので、その他の時季には使用しないようにします。
「薫風の候」の例文
では実際に「薫風の候」を使った例文を挙げてみます。
『拝啓 薫風の候、いかがお過ごしでしょうか』
『拝啓 薫風の候、皆様ますますご健勝のことと存じます』
これらのような文章が考えられますが、前後ともに堅い表現でまとめる方がバランスが良くなります。
「薫風の候」の類語での言いかえ
「薫風の候」は、別の表現で置き換えることも可能です。
全体を「風薫る季節となりました」や「新緑の眩しい時季」などとすると、よりわかりやすく柔らかい表現となります。
また「候」の部分を「折」「おり」や「みぎり」という表現で代替することも可能です。
この場合には、「薫風の折」や「薫風のみぎり」となります。
まとめ
「薫風の候」とは、ビジネスや改まった文書での冒頭の挨拶に5月(出来れば中旬から下旬)限定で用いる季節を感じさせる表現です。
基本は「拝啓」「はいけい」と言う冒頭の言葉に続けて使用するものと考えましょう。