「経過」と「経緯」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「経過」と「経緯」の違いとは? 言葉の違い【2語】

この記事では、「経過」「経緯」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「経過」と「経緯」の違い

「経過(けいか)」「経緯(けいい・いきさつ)」はどちらも「ある物事が変化していく過程・様子」を意味する言葉ですが、「経過」というのは「時間が過ぎるのと合わせて物事(出来事)が移り変わっていくさま」を意味しています。

「経過」「時間が流れて過ぎること・時系列の変化」に意味の重点が置かれていますが、「経緯」のほうは「物事が始まってから終わるまで(現状に至るまで)の流れ・事情」に意味の重点が置かれている違いがあります。

「経過」「時系列に沿った物事の流れ・なりゆき」を意味するにとどまりますが、「経緯」のほうは「時系列の流れも含めて、ある物事の発端から結末までの詳しい事情・内容」までを意味しているのです。

「経過」と「経緯」の使い方の違い

「経過」「一ヶ月が経過しました」のように「単純に時間が過ぎること」の意味で使われますが、「経緯」にはそういった使い方はありません。

「経過」「トラブルの経過を知る」「トラブルの時間の流れに合わせたなりゆきを知る」の意味で使えますが、「トラブルの経緯を知る」というと「経過よりも詳しいトラブルの始まりから現状までの流れ・事情を知ること」を示している違いが出てきます。

「経緯」「経過」にはない、「ある物事・事件の発端から現時点(結末)に到達するまでの詳しい事情や内容」を意味する使い方があるのです。

「経過」と「経緯」の英語表記の違い

「経過」の言葉を、英語で表記すると以下になります。

“passage”……時間が過ぎ去っていくこと・時間の経過。

“process”……時間が過ぎ去る過程・物事が段階を踏んで進んでいくプロセス(過程)・経過。

“progress”……物事の進展・出来事の成りゆき・経過。

「経緯」という言葉を、英語で表現すると以下になります。

“circumstance”……物事を取り巻いている事情・状況・環境。

経緯(いきさつ)。

“details”……物事や事件などの詳細な事情(詳しい内容)・経緯。

“story”“how it started”……物事・出来事の物語的な内容や事情。

その問題(物事)がどのようにして始まったのかということ。

経緯。

「経過」の意味

「経過」のもっともシンプルな意味は、「時間が過ぎること」です。

「経過」の表現には、「ある時間内における物事の変化・進行の具合」「時間が過ぎるプロセスに合わせた物事のなりゆき」といった意味合いもあります。

また「経過」「ある場所・地点や物事の段階を過ぎ去ること、通り過ぎること」の意味も持っています。

「経過」の使い方

「経過」の使い方は「別れてから一年が経過しました」のように、「ある一定の時間が過ぎること」を意味して使います。

さらに「二人が結婚するまでの経過は~」のように、「ある物事の一定時間内における進み具合・変わり具合・なりゆきの過程」といった意味でも使えます。

「経過」の表現は、「経過観察・経過を見る・経過を知る・経過措置」のような用法でも使用されています。

「経過」を使った例文

・『あの事件からすでに3年が経過しています。』

・『病状の経過観察をしながら治療方針を考えていきます。』

・『年を取るほどに、月日の経過が早くなっていきます。』

・『その問題の現在までの経過を大まかに話してください。』

・『当面の経過措置として故障した部分の応急手当をしておきました。』

「経過」の類語

「経過」の類語には、以下のような言葉があります。

・『過ぎる(すぎる)』……時間が流れて過去になること。

時間が過ぎることや人・物が通り過ぎること。

経過。

・『進展(しんてん)』『進行(しんこう)』……物事が時間に合わせて変化して発展すること。

物事が時間経過と共に進むこと。

経過。

・『通過(つうか)』……人・物がある地点を通り過ぎること。

「経過」の対義語

「経過」の対義語には、以下のような言葉があります。

・『停止(ていし)』……物事が動かずに止まっているさま。

時間が流れずに止まっているさま。

・『停滞(ていたい)』……物事・車の流れなどが進行せずに、とどこおって止まっているさま。

「経緯」の意味

「経緯(けいい・いきさつ)」というのは、「物事・事件などの始まりから終わり(現状)に至るまでの詳しい流れ・事情」「込み入った事情・複雑な関係の流れ」を意味している言葉です。

「経緯」の表現には、「経度と緯度・経線と緯線」といった地図用語の意味合いもあります。

「経緯」の使い方

「経緯」という言葉は「二人が対立している経緯を知りました」のように、「ある物事の発端から現状(結末)に至るまでの詳細な流れ・事情・関係の変化」といった意味合いで使う使い方があります。

地図用語の「経緯」「その場所の経緯を調べました」で使えるように、「経度と緯度」の意味で使用できます。

また「経緯」という表現は、「経緯を知る・経緯を調べる・経緯が分かる・問題の経緯・二人の経緯・経緯書・経緯報告書」などの用法で使われています。

「経緯」を使った例文

・『事件の詳しい経緯について警察から説明を受けました。』
・『二人の間に何があったのかの経緯を知らないのです。』
・『顧客とのトラブルについての経緯書を提出しなければなりません。』
・『どんな経緯があったのかによって、人々の意見や判断は変わってきます。』
・『これまでの歴史的経緯があるため、二国間の信頼関係は崩れやすくなっています。』

「経緯」の類語

「経緯」の類語には、以下のような言葉があります。

・『顛末(てんまつ)』……ある物事・事件などが、どのように起こってどのような結末に至ったのかという一部始終。

ある出来事についての、最初から最後までのすべての事情・内容。

・『詳細(しょうさい)』……ある事柄についての詳しくて細かい内容や説明。

・『仔細(しさい)』……ある物事についての事細かな詳しい内容。

始まりから終わりまでの一部始終。

「経緯」の対義語

「経緯」の対義語には、以下のような言葉があります。

・『概略(がいりゃく)』……ある物事・出来事について、詳細ではないおおまかな内容。

・『あらまし』……ある物事について、事細かではない大雑把にまとめた事情・流れ。

まとめ

「経過」「経緯」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?

「経過」「経緯」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。

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