この記事では、「卒」と「率」の違いを分かりやすく説明していきます。
「卒」とは?
音読みで「ソツ(外)シュツ」。
訓読みで「(外)しもべ、おわる、おえる、にわかに、ついに」といった読み方を持つ「卒」。
意味は、下級の兵士、しもべ、めしつかい、おえる、おわる、にわか、あわてる、突然に、死ぬ、亡くなる、となります。
このような意味から「卒」を使った言葉には、おえる、おわる、といった意味の「卒業」、「大卒」など。
にわか、あわてる、といった意味の「卒倒」、「卒然」など。
下級の兵士を意味する「卒伍」、「兵卒」などがあります。
「率」とは?
音読みで「ソツ(中)、リツ(外)、スイ、シュツ。
訓読みで「ひきいる、(外)したがう、おおむね、わりあい、かしら」といった読み方を持つ「率」。
意味は、ひきいる、引きつれる、みちびく、にわか、だしぬけ、ありのまま、自然の、すなお、おおむね、だいたい、すべて、わりあい、程度、となります。
このような意味から「率」を使った言葉には、引きつれる、みちびく、といった意味の「引率」や「率先」。
わりあい、程度、を意味する「確率」や「能率」などがあります。
「卒」と「率」の違い
「卒」と「率」には、「にわか」、「あわてる」といった共通の意味があります。
しかし、それ以外は、全く異なった意味を持つ「卒」と「率」。
例えば、「率直」と「卒直」ですが、「率直」は「そっちょく」と読み、ありのままで隠すところがないことを意味します。
使い方は、「率直に言えば」や「率直な意見」などです。
この使い方が正しい「率直」の使い方となり、実は、「卒直」完全な間違いではないものの、意味から考えても正しい漢字の使い方ではなく、単に「率」よりも「卒」の方が簡単だから、書きやすいから、といった理由で使われるようになったものとなります。
その証拠に「そっちょく」とパソコンなどで入力した場合、「率直」としか変換されることはありません。
ただし、「軽率」と「軽卒」は違います。
どちらも正しい言葉です。
ただし、意味は異なります。
「軽率」の意味は、ものごとについて深く考えず軽々しく行うことを意味する一方、「軽卒」は、身軽な服装の兵士。
また、身分の低い兵士を意味します。
この2つは同じ「けいそつ」という読み方ですが、全く異なった意味となります。
そのため、決して間違えないよう注意しなければいけない漢字となります。
このように、共通の意味を持つこともあり間違いやすい「卒」と「率」ですが、実際には、全く異なった意味を表すことも多く、基本的に同じ意味として用いることはできないものとなります。
まとめ
「卒」と「率」には、同じ読み方で同じ漢字と組み合わせた言葉があり、勘違いされやすいものとなります。
しかし、全く異なった意味となる場合が多く、決して、混合して使ってはいけない、そんな「卒」と「率」になるため、注意してください。