ビジネスシーンで使用するフレーズは、敬語表現が必然的に多くなります。
「ご覧いただければ幸いです」というフレーズもその一例であり、これより解説いたします。
「ご覧いただければ幸いです」とは?
「ご覧」とは、「見ること」の尊敬表現になります。
今回は「ご〜いただける」という、目上の相手に「〜してもらえる」ことを意味する謙譲表現の中で使われています。
尚、「いただければ」は、「いただける」の仮定形「いただけれ」に、仮定の接続助詞「ば」が付いた形です。
一方で「幸いです」とは、「嬉しい」という意味合いでの使用となっています。
以上のことから、このフレーズ全体は、「(目上の人に)見てもらえれば嬉しいです」という意味であり、依頼形式の謙譲表現となります。
同時に、相手に「見る」ことを依頼しつつも、その最終判断は完全に相手に委ねて、決して押し付けがましくないように相手に配慮したフレーズと言えるのです。
「ご覧いただければ幸いです」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネス上このフレーズが使われるケースは、自分が目上の相手に送付したか手渡した文書類もしくは画像等を、その相手に見てもらいたい時です。
かなりフォーマルな形の謙譲表現ですが、文章内だけでなく会話中での使用も問題なく、頻度もそれなりにあります。
具体的には、「先程お配りしたプレゼン資料を、ご覧いただければ幸いです」のような形で使用します。
「ご覧いただければ幸いです」を使った例文
それでは、他に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『本日送付いたしました契約書類を、細部までご覧いただければ幸いです』
・『あくまでお時間のある時にご覧いただければ幸いです』
「ご覧いただければ幸いです」の言い替え
言い替え表現を作るためには、「相手に見てもらう」ことを敬語表現を用いて依頼形式にする必要があります。
・『ご高覧いただければありがたく存じます』
「ご覧」同様、「見ること」の強い尊敬表現である「ご高覧」を用いて、「ありがたいと思う」という意味の「ありがたく存じます」という謙譲表現で言い替えています。
尚、「高覧」自体も尊敬表現ではありますが、「ご」を付けても慣例上二重敬語にはなりません
・『ご覧いただけるようお願い申し上げます』
「見てもらえるようにお願いします」という表現を、謙譲表現を用いて言い替えとしています。
・『ご覧くだされば幸甚に存じます』
「ご覧いただける」は、目上の人に自分が「〜してもらえる」という形で相手を立てますが、目上の人が自分に「〜してくれる」という意味の「〜くださる」を用いた尊敬表現であれば、意味も効果も実は同じです。
一方「幸いです」をより堅い謙譲表現にすると、「幸甚(こうじん)」を用いた「幸甚に存じます」という形ですので、このような言い替え表現が可能になります。
まとめ
「ご覧いただければ幸いです」とは、目上の相手に自分が渡したか送付した、もしくは自分が関わった文書類や画像等を見てもらいたい場合に用いる、敬語表現を用いた依頼フレーズです。
決定権を委ねることで、相手に強く配慮した上での依頼表現が可能になります。